本文へジャンプ
浦和高校ソフトテニス部麗和会
ゴルフとの共通点について前回のコラムで書きましたが、今回は、相違点について記します。
それは、ゴルフに必要なくて、テニスには一番必要なもの、「瞬時の判断力」です。ゴルフは次どんなショットを打とうか、ゆーっくり考える時間があります。高い球でグリーンに落とすか風を避けて低い球で攻めるか、左に池があるので右に逃げて寄せワン狙いでいこうかなど、キャディーがいれば、距離や狙い所の正解など1球ごとに聞くこともできます。グリーン上では縦横斜めから時間をかけてラインを読み、同伴プレーヤーの顰蹙を買う人も見られます。

ソフトテニスの試合では考えているうちにボールは通り過ぎてしまいます。どうしようかと迷っていると、中途半端な打ち方になり「上げボール」を打ってしまいます。
相手のボールのスピード、深さ、弾みの高さ、相手後衛前衛のポジション、動き、それまでの経過などを踏まえ、後衛だったら、ロブかシュートかその方向は、前衛だったら、ポーチに出るかスマッシュを狙うか、選択肢はいろいろです。多くの選択肢の中から、必ず「瞬時に選択」しなければならない状況が続くのが試合です。
試合では、頭の中で蓄積された情報、判断材料から、「どれを選択していくのかを直感的に判断する能力」が求められます。ある程度技量が接近していれば、試合は、「的確に正しい判断を下せる能力/判断力の勝負」になるからです。
 卓球やバドミントンの一流選手の速いラリーを見ていると、人間の能力の凄さを感じてしまいます。瞬時にオープンスペースを探し出しいろいろな打ち方で放たれるボール、シャトルはリモートコントロールされているようです。その時その時のベストの選択を一瞬のうちに出来るというのは、判断力というよりも、練習により培われた「直感的な感覚」が優れていると言った方がいいかもしれません。
 将棋のプロがよく使う言葉に「この局面は一目○○飛車だけど---」というのがあります。1手に何時間でも考える材料を持っているプロの本当に凄いところは、直感力です。5秒切れ負け将棋でも指せるのです。多くの経験を通じ、局面に応じた最善手であろう手を一瞬にして探し出すことが出来るのがプロです。例えば、パッと3手思い浮かんだとします。それぞれ、その先を詳しく読んでいくと、ドンドン枝分かれしていき数10手以上読まなくては次の手は指せません。最善手は1手ですから。しかし過去の膨大な対局経験や他の人の対局記録研究により、プロは一目で「最善手であろう手」が直感で浮かんでくるのです。言いかえれば、読む必要のない手が直感で分かるのです。

  何事も判断するには「判断材料」が必要です。ソフトテニスの場合、判断材料の重要なキーワードのひとつが「デッドゾーン:Dead Zone」です。 コートには必ずデッドゾーンつまり、物理的に打てない場所があります。デッドゾーンの法則は大きく2つ。
  ・ボールが深ければデッドゾーンは広くなる。
  ・打点が低ければデッドゾーンは広くなる。
コート上で無駄な動きの典型が、デッドゾーンを守ろうとする動きです。端にへばりついている上手い前衛はいません。キーワードの2番目が「予測:Anticipation」です。ボールが打たれてから対処していては、後手後手に回るばかりです。相手がどうするか、常に予測しなければ先手は取れません。後衛がせっかく深いシュートボールで相手を押し込み、ロブしか打てない状況なのに、前に詰めることしか頭にない前衛は要りません。
 松山高校など強豪校の前衛の動きを見ていると、瞬時の判断力はもちろん優れているのでしょうが、「動きのマニュアル化」が進んでいるのではないかと思ってしまいます。自分の後衛がストレートにコースを変えた次には、必ずポーチに出て、ストップボレーで落とす。ミドルにサービスが入った時も然り。ここに打てば次こうするといった「状況別行動マニュアル」が規定されていて、頭に叩きこまれ、「マニュアル通り仕事をしている」ようにさえ見えます。
 日頃から、判断材料をよく考えて「瞬時に正しい判断」が出来るよう意識して練習するかどうかが、今後の試合に勝つ鍵になるでしょう。

 さて、明日2/6(土)は、いよいよ今年の開幕戦「南部リーグ」が大宮第2で開催されます。この大会は、昨年の新人戦団体の成績により、「Aブロック」上位8〜10校とそれ以下のBブロックに分け、リーグ予選形式で行うものです。リーグ戦の上位4校がトーナメント戦に進出できます。
浦高の過去7年は、H15-A3位、H16〜19-A予選落ち、H20-B予選落ち、H21-B優勝という成績でした。今年は3年ぶりにAブロック復帰です。
各校のBチーム以下を集めてトーナメントを行う「Cブロック」も浦和駒場コートで予定されています。選手の多い浦高はBからEチーム+2人(他校との混成チーム)が出場します。
Aブロック10校中、第1〜3シードの川口総合、上尾、大宮西の3校と他7校との差は大きいものがあります。次の4番手は全く予想がつきません。大宮北、大宮、浦和、浦和南、市立川口、浦和実、大宮工、どこが勝っても、不思議でないと思われます。
新人戦以降の精進が問われ、春の関東県南予選などの前哨戦という重要な大会です。ベスト4を目標に勝ち癖をつけておくと共に、相手の癖、攻撃パターン、弱点など「判断材料」をたくさん蓄積するよう、相手をよく「観察」しておいてもらいたいものです。


トップページへ戻る
瞬時の判断力 2010年2月5日 18:44